それでもなお、心の片隅に憤懣やるかたない気持ちが残っている場合に、門脇さんは「リセット」を促す(図参照)。要は再雇用の際にそれまでのキャリアをリセットして、プラスマイナスゼロに戻すのだ。そして、過去を忘れ、現在を客観視することの重要性を指摘したうえで次のように語る。
「リタイアすれば“タダの人”になるんだからと割り切れば、自分の新しい役割も見えてくるはず。企業での役割は芝居の配役と同じです。主役を張っていた往年の名優だって、いぶし銀の魅力で脇役を演じたりしますよね。企業でも、再雇用社員はそうした役回りと考えればいい。再雇用で有終の美を飾れたら、ビジネスマン人生がきっとハッピーになるでしょう」
そして、絶対にしてはいけない間違いは、短気を起こして独立開業することだ。現場力の乏しい人が、一人で何役もこなしながら事業を起こすのは土台無理な話。いまの職場でセカンドキャリアを築くほうが、ローリスクで成功の確率も高いことをお忘れなく。
経営コンサルタント 高城幸司
セレブレイン代表取締役。リクルートを経て2005年独立。『無茶振りの技術』など著書多数。
人材開発コンサルタント 門脇竜一
クリアマイン代表取締役。2001年独立。講演で活躍。著書に『先輩が部下になったら』。
セレブレイン代表取締役。リクルートを経て2005年独立。『無茶振りの技術』など著書多数。
クリアマイン代表取締役。2001年独立。講演で活躍。著書に『先輩が部下になったら』。
(撮影=渋谷高晴、加々美義人、宇佐見利明)