また、管理職の指示をスルーし、独断専行する「暴走タイプ」もよくいる。つまり、年下の管理職を軽んじ、上司として認めていないわけだ。

「たとえば、管理職への『ホウレンソウ』を怠って、勝手に商談を進めてしまい、取引先とトラブルを起こすこともしばしば。そうなると、管理職は火消しでおおわらわです。たまりかねて年上部下に注意しても、言いわけばかりしたり、ふてくされたりして手に負えないそうです」(門脇さん)

そうした困った年上部下にも、言い分はあるようだ。いまの60代が若手社員の頃、企業の年功序列制は健在だった。「若いとき、安月給でガムシャラに働いた分だけ、年を取れば、いい給料を貰えるようになり、仕事は楽になる」――。窓際で優雅に新聞を読む中高年社員を見て、そう思っていた。

しかし、それは過去の話。ラインから外れた中高年まで引き上げるゆとりなど、現在の企業にはない。そうした現実とわが身のギャップに、「いままで蓄えた貯金を会社から返してもらっていない」と、鬱屈した思いを抱える年上部下が多いのだろう。門脇さんはこう厳しく指摘する。

「企業は、ビジネスマンを『時価』で評価するようになりました。つまり、いま何ができるのか、どんな貢献をしてくれるのかを見るということ。過去の実績や企業への貢献度は通用しません。ところが、それをわかっていない年上部下が多いのです。ビジネスマンとしての自己評価を聞くと、企業の評価に比べて、たいてい3~4割増しの答えが返ってきます」

そんな状態では、再雇用される社員も、再雇用する企業もアンハッピーだろう。社員の側としては、どのような自己改革をすべきなのだろうか?