哲学を言語に転回「分析哲学」

哲学は古来、「真理」「善悪」「神」などを問題としてきました。けれどもこれらはそもそも人間が作り出した言葉です。つまり「神」とは何かを考えるのではなく、「神」という言葉がどのような意味で使われているのかを分析すれば、「神」の問題は解決できるということになります。哲学の役割は「~とは何か」を考えるのではなく、言語(文)の意味を分析することだとする哲学を(言語)分析哲学といいます。

分析哲学は独断的、主観的だった哲学を客観的な言語の問題に転回させました。これを言語論的転回といいます。分析哲学はフレーゲ、ラッセル、ムーアの哲学に由来し、ウィトゲンシュタインを経て、現代の英米哲学の主流となっています。

『続・哲学用語図鑑』(プレジデント社刊、田中正人著、斎藤哲也編集・監修)より
▼ウィトゲンシュタイン

オーストリア生まれの哲学者。分析哲学や言語哲学の形成と発展に決定的な影響を与えた。父はオーストリア・ハンガリー帝国の鉄鋼王。ベルリンの工科大学で航空工学を学ぶが、関心は数学や論理学にあり、ケンブリッジ大学ではラッセルに師事。兄4人のうち3人が自殺、自身も志願兵になったり小学校教員になったりと数奇な人生を送った。

▼フレーゲ

ドイツの数学者、論理学者、哲学者。バルト海沿岸ヴィスマルに生まれる。イェーナ大学の後、ゲッティンゲン大学に移り、数学の博士号を取得。1874年、イェーナ大学の講師に指名され、以後44年間、同大学で数学を教える(96年、教授就任)。算術を論理から導く論理主義は挫折したが、20世紀の記号論理学や分析哲学をラッセルと共に切り拓いた。1925年、死去。