11万部超のベストセラーとなった『哲学用語図鑑』から2年。ついに『続・哲学用語図鑑』(田中正人著、斎藤哲也監修)が発売となります。書籍に収録した全70人の哲学者のうち、今回は「英米哲学」のプラグマティズム、分析哲学、科学哲学という3つの分野から、6人を紹介します。その哲学がギュッと詰まったイラストをご堪能ください――。

有用であれば真理「プラグマティズム」

知識とは結果予測のことであり、なおかつその知識が人間にとって有用であれば真理であるとみなす立場をプラグマティズムと呼びます。

『続・哲学用語図鑑』(プレジデント社刊、田中正人著、斎藤哲也編集・監修)

パースにとって「何かについての知識(概念)」とは「その何かにどのような行動(行為)ができて、その結果どうなるかの知識」のことでした。たとえば、「氷」を「知っている」ということは、「氷そのもの」を「知っている」ことではなく、「氷はさわると冷たい」とか「氷は熱をあてると溶ける」ということを「知っている」ということです。

たとえ形や素材が「氷」であっても、さわって冷たくなければ、それは「氷」ではありません。つまり何かに対する知識とは、その何かに対する行動の結果予測だということができます。こう考えると、知識(概念)は検証可能なものとなります。知識を行為の結果と結びつけたパースの考えをさらに発展させたのがジェイムズです。

ジェイムズは、ある知識をもとに行動した結果が有用であればそれは真理だと言います。これが実用主義です。また、デューイは知識それ自体に価値はなく、人間にとって有用な道具でなくてはならないとする道具主義を唱えました。