24歳で40億円を調達できた理由

【堀江】いろいろなところにお願いしに行きました。たとえばオンラインゲーム企業・gumiの國光宏尚社長とか。それまで1回しかお会いしたことがなく、しかもgumiショック(上場後、業績を下方修正して炎上)で会社が大変なときだったのに、電話をしたら「5000万円出す」と言ってくださって。

【田原】それはすごいね。國光さんは堀江さんの何を評価したんだろう。

【堀江】國光さんだけではないのですが、投資してくれる方には「目に殺気があった」とよく言われます。クックパッドは時価総額4000億円に達するまでに約20年かけています。それに対して、僕はそのとき、3年でクックパッドを追い抜くと言った。もちろん口だけなら誰でも言えます。本当にそれをやり抜く胆力があるかどうかを見てくれたんじゃないかと。

(上)2016年、レシピ動画サービス「クラシル」を開始。開始5カ月で月間動画再生回数は1億回を超える。(下)2017年3月にヤフー参加のYJキャピタルやgumiベンチャーズなどから約30億円の第三者割当増資を実施。累計調達額は約40億円に。

【田原】いまレシピ動画はどれくらいつくれるようになったのですか。

【堀江】事業を始めて約1年経ち、従業員は90人になりました。1カ月目は動画50個がやっとでしたが、いまは月に1000個。合計で6600個あります。クックパッドは3年前から動画をやっていますが、いま1500~2000個。じつは料理レシピ動画で僕らは後発なのですが、すでに動画の数は一番になりました。

【田原】つくった動画は、どうやってユーザーに発信するんですか。

【堀江】最初はSNSです。フェイスブック、ツイッター、インスタグラム、ユーチューブへの公開から始めて、3~4カ月後にアプリを出して、お気に入りの動画を保存できるようにしました。いま僕らの動画は月間1700万人にリーチしています。クックパッドはアプリとウェブを合わせて月間6000万人ですが、重複している部分もあるので、実態はおそらく3000万~4000万人。クックパッドはここまでに20年かけましたが、クラシルは1年ちょっとで半分までいきました。

【田原】動画を見るのはほぼ無料です。どうやって稼いでいるんですか?

【堀江】いま売り上げが一番大きいのは企業とのタイアップです。たとえばキッコーマンの醤油を使ったレシピを公開して数十万回再生させますというビジネスモデルです。