仕事は条件ではなくやりがいで決める――。そんなミレニアル世代を中心に人気を集める求人SNS「ウォンテッドリー」。現在2万3000社が登録し、月間150万人が訪れる。経営者はフェイスブック日本法人の立ち上げメンバーで、実名投稿に魅せられたという。
田原総一朗×ウォンテッドリー CEO 仲暁子

GSを辞めて漫画家を目指す

【田原】仲さんはスティーブ・ジョブズの言葉に影響を受けたそうですね。

【仲】ジョブズはあるインタビューで、こんなことを言っていたんです。「世の中には、あの大学はすごいとか、あの職業は偉いというようなラベリングがいろいろあるが、それらは先人がつくった人工物にすぎず、従う必要はない。大人になるとお金を貯めて家を買い、家族と過ごすことが幸せだといわれているが、それは限定された生活だ」と。ジョブズはいろんな言葉を残していますが、これが特に好きです。

【田原】仲さんは大学生のころから起業をしていたそうですが、それも影響あるのかな。

【仲】ゼロからイチをつくるのは昔から好きです。大学でもミスコンを企画したり、フリーペーパーをつくったりしていました。

【田原】仲さんは京都大学ですね。京大にミスコンはなかったんですか?

【仲】はい。学園祭といえばミスコンが目玉の一つですが、いざ入学すると京大にはなかったので、1年生のときに自分で企画しました。結果的には開けなかったんですけど……。

【田原】どうして?

【仲】企業をいろいろ回って、化粧品会社やウエディングドレスの会社から協賛をとりつけました。そうしたら、学園祭を取り仕切っている全学連から「資本主義の介入だ」と反対されまして。さらにフェミニストの団体からも「コンテストは性の序列化だ」「性の商品化は許さない」と抗議が。話し合いをしたのですが、断念せざるをえなくなりました。

【田原】つまらないことを言うね。

【仲】多様性ですね。世の中いろんな視点があるんだなと勉強になりました。

【田原】もう一つ、フリーペーパーというのは?

【仲】慶應義塾大学の友達から、「うちの大学では、楽勝科目の履修情報をまとめた『リシュルート』という雑誌が500円で売られている」という話を聞きました。それはおもしろいと思って京大版をつくりました。ただ、京大は慶應と比べて学生数が少ないので、販売しても元は取れない。だから地域の居酒屋などにスポンサーになってもらって、クーポンをつけて配りました。リクルートの「Hot Pepper」と同じビジネスモデルなので、名前はそれをもじって「Chot Better」。ありがたいことに、いまでも続いています。