【田原】でも、レシピサービスはクックパッドが押さえているわけでしょう。どうして将来性があると?

【堀江】当時、さまざまなコンテンツで動画の波がきていました。その波は必ず料理の世界にもくるはずです。考えてみると、料理は画像やテキストより動画のほうが便利。手順を伝えたり、焦げ目がつくまで焼くというときの焦げ具合だって、動画のほうが圧倒的に伝わります。それなのに、料理レシピの動画を集中してつくっているところはまだなかった。

【田原】クックパッドは動画をやってないのですか?

【堀江】やってました。でもユーザーを満足させるレベルのコンテンツはなかった。それに対して、僕たちは資格を持っているプロの栄養士がレシピをつくり、料理人さんがつくって自社で撮影をします。そのオペレーションをしっかりとつくったので多くの動画を一気につくることができました。

【田原】プロだといいものができる?

【堀江】とくに動画の撮影や編集というところで差が出ます。僕たちの動画はすべて1分以内。30秒だと工程が省かれすぎてよくわからないし、3分だと間延びして見てもらえません。また、動きをつける工夫も重要。たとえば卵やチーズがトロッと出てくる様子がわかると、見ているだけで楽しいですよね。そこがCGM(消費者生成メディア)との違いです。

【田原】レシピ動画は、すぐつくれるものですか。

【堀江】最初は社内に料理のできる人も動画編集のできる人もいなかったので、ぜんぶ自分でやりました。

【田原】1人じゃ数はつくれない?

【堀江】はい。じつは最初のフードデリバリーで失敗してからレシピ動画にいきつくまで約1年ありました。その間は半分潰れたような状態で、メディア事業をやっていました。そんなときに僕がいきなり「これからはレシピ動画だ」と言っても、社員は誰もついてこない。だから最初は1人でつくるしかなかったんです。でも、つくったものを見せたら反応がよくて、料理ができる社員が協力してくれるように。1カ月で2~3人の体制になっていました。

【田原】2~3人だと1日何本?

【堀江】当時はボロアパートでつくっていて、1日8~10本ぐらい。これでは遅いので、約40億円資金調達していまの量産体制を整えました。

【田原】そこで聞きたい。堀江さんは一度失敗しています。日本は失敗した経営者に冷たいけど、どうやって資金調達したのですか。