「部下に無理にさせなくてもいい」

そうはいっても、自分の部下はサボるんじゃないか。そう訝る上司もいるだろう。

在宅勤務を導入する企業では、入社後一定期間を経た者を対象にするのが一般的だ。だが、日産自動車では入社1年目の社員にも在宅勤務を認めている。

「弊社の在宅勤務は1年に1回、希望者を審査して登録するシステムなので、基本的に自ら手を挙げた人の仕事へのモチベーションは高い。万が一、在宅勤務の状況に問題があれば、登録を取り消すこともできます」と同社ダイバーシティディベロップメントオフィス室長の小林千恵氏は話す。

同社のグローバルマーケティングイニシアティブ部で課長を務める曽山純平氏は、「問題は上司の意識です」と指摘する。

「在宅勤務を希望しないなら、無理にさせる必要はありません。私の部下にも、自宅では仕事がはかどらないからと、在宅勤務をしない者もいます。重要なのは、希望する社員100%が制度を利用するかどうか、選択できるようにすることです」

「メガバンク初の導入」育児・介護目的が7割
――三菱東京UFJ銀行

三菱東京UFJ銀行が、試験運用を経て在宅勤務の制度を本格的に導入したのは2016年7月。正社員約3万人のうち、本部で企画業務に従事する者、育児・介護をする必要がある者など、約4000人が対象。週1回までが条件だ。顧客の信用情報を扱うため、セキュリティにも万全を期す。専用のパソコンを貸与し、端末内に情報を残さないシステムを使用。自宅での作業を義務づけている。

同行は他のメガバンクに先駆けて制度を導入した。「当行では中期経営計画(2015~17年度)の柱として、安倍政権同様、『働き方改革』を掲げています」(人事部企画グループ次長 佐伯哲哉氏)。

在宅勤務を推進する目的のひとつは女性活用だ。同行の女性社員の離職率は、2.3%と極めて低い。現在、約1500人の女性行員が産休・育休を取得している。

導入から約2カ月、在宅勤務を利用するのは、まだ100人ほど。企画業務の従事者が3割、育児や介護を目的とする者が7割だ。在宅勤務をするためには、初回の誓約書への署名とEラーニングの受講、そして前日までに上司への在宅ワーク時の業務内容の報告と成果物の提出が必須。同じく7月より導入した「セレクト時差勤務」は、勤務時間を前後に最大1時間ずつずらせるもので、すでに3000人が利用している。

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(撮影=花村謙太朗、大崎えりや)