大切な自分を防御するための敬語術

セクハラ、パワハラは、性別に関係はありません。立場の強い者が立場の弱い者にする嫌がらせは、すべてハラスメントです。

ハラスメントは、その行為をする側が悪いのであり、される側がとがめられるようなことがあってはなりません。罰せられるのは、ハラスメントの加害者であるべきです。

しかし、知らず知らずのうちに加害者につけこまれやすい応対をしがちな人もいるということを、ぜひ知っていただきたいのです。

『闘う敬語』朝倉真弓(著)大嶋利佳(監修)プレジデント社刊

たとえば、先ほどの女性は、イヤだ、不愉快だと感じる言葉を投げかけられても、「NO!」が言えずに、笑ってごまかしていました。その理由は、相手が商談中のクライアントだから。機嫌を損ねては大変だという思いがあるからです。

けれど、「NO!」を告げずにいると、相手は「この程度のセクハラは許してくれる子なんだ」と思い、さらにつけあがります。だからと言って、お客様に向かって、

「やめろ! このエロおやじ!」

……とは言えませんよね。そこで活用したいのが、大切な自分を防御するための敬語です。

ちょっと驚いた風を装いながら、
「そのようなご発言は、社長のお言葉とは思えません」

あるいは、少し怒りをにじませながら、
「そのようなことをおっしゃるとは、大変不愉快です」

敬語を活用することで、言いづらいことをはっきりと口に出せるようになります。