──将来、活用が期待される分野は?
【ラナ】ソーシャルロボットに組み込まれるとおもしろい。2020年の東京オリンピックの頃にはソーシャルロボットがコンシェルジュやツアーガイドを務めているでしょう。ロボットがお客さんの表情から感情を読み取れれば、より温かな対応が可能になります。
そのほかでは、ヘルスケアにも注目しています。声のトーンや表情からうつ病の兆しを検知すれば、未然に対処できる。ゲーム分野も期待が大きい。自分のアバターがお城の門番に脅す表情を見せれば門があくといった遊び方ができれば、夢が広がります。
さらに言うと、将来は分野に関係なく、あらゆるデバイスに感情チップが埋め込まれるでしょう。車が運転手の疲れを検知して運転をストップさせたり、冷蔵庫が利用者のストレスを検知して、やけ食いをさせないよう扉をロックするといった世界が実現します。
──感情を隠せない世界で、人は本当に幸せになれるのか。
【ラナ】前提として、感情はプライバシーであり、許可なしに読み取ることはありません。また、テクノロジーには乱用のリスクがつきまといますが、トータルでは社会にプラスをもたらすはず。10年前、GPSは同じような懸念を持たれたが、いまはさまざまなデバイスに付き、広く利用されている。感情認識技術も10年後にはあたりまえになっているでしょう。
(村上 敬=構成 宇佐美雅浩=撮影)