バディ制度、メンター制度のメリット

【丹羽】社員の中で、その使命に共鳴している人は多いですか?

【山崎】CPIというホスティングサービスを立ち上げた当初からいる人たちはそこにコミットしていますが、時間がたつに薄れてきてはいますね。そこに新しいサービスを加える際も、根っこのポリシーは生きていますが。ただ、それが自分の仕事を創り出すといった使命となっているかというとやはり薄くはなってきていると思います。

【丹羽】うーむ、なるほど……。端的に申し上げると、現状のまま問題解決するのは難しそうだな、という印象です。ここまでのお話を整理すると、多くの社員はマネジメントになることを目指していません。現在の本部長はマネジメントできる人として採用した人で、外からはこれ以上採ることは避けたい。いまの社員は、プロ意識が強く、本来のスピリットを理解していれば、周囲に対する影響を考えなければいけないはずだけれども、そのスピリット自体も薄まってきている。いま世の中は売り手市場ですから、こういった状況ですと人はたしかに出て行ってしまいます。

個別の打ち手を考えるとすると、バディ制度・インストラクター制度・メンター制度といった仕組みを入れるということが考えられますが、そういったことはやっておられますか?

【山崎】いまはやっていませんね。

【丹羽】半強制的にやってみるというのは一つの方法です。ペアになった人に「育成しよう」という意識が薄くスキルが低くても、「そういう制度です」とし、必ず例えば入社3年目の人は1年目の人を育成した経験がある、という仕組みにするのです。それを業務とし、評価にも結びつけてはどうでしょうか? バディは年が近い人同士の組み合わせ、メンターは年が離れた人が仕事を離れた相談も受け付けるというイメージです。「意外と自分は、人の面倒を見ることができるんだな」「若い人を助けるとなんだか気分も良い」といった経験を積んでもらうと良いと思います。

【山崎】OJTで新人の面倒を見たり、人事部との悩み相談の時間を設けたりはしていますが……。

【丹羽】メンターというのはその会社でのキャリアを通じての財産となるべきものですから、5年くらいは面倒を見るという仕組みである必要があります。「お前、若いときから全然変わらないなあ」みたいな会話が成立するようにするのです。

【山崎】なるほど……。しかし、社内は年齢差があってもフラットな感覚にしたがる傾向にはあるんですよね。

【丹羽】わかります。メンターというのは上司・部下ではないのです。兄貴や親分でもありません。ベンチャー経営者にもメンターがつくことがよくありますが、何でも彼・彼女のいうことを聞くわけではないですよね。

【山崎】確かに。