【6】職場飲み vs 自己投資
▼誘われたら3回に1回、参加するくらいでいい
手取り年収300万円のサラリーマンは、少ない小遣いの一部を「職場飲み」と「自己投資」のどちらに振り向けるべきか迷うだろう。
職場飲みの主な目的は、社内の人脈づくりや仕事を円滑に進めるためのコミュニケーションを図ること。一般に一次会で3000円、二次会で2000円としても最低5000円はかかるだろう。
「大企業は定年まで勤め上げる人が多いでしょうから、社内の人脈づくりはある程度有効だと思います。オフィシャルなイベントは出席し、上司のメンツをつぶさないことも大切」と丸山氏は肯定する。
さらに中小企業についても「会社が一つのカラーに染まっているから、出ないと居づらくなるリスクは大企業よりもむしろ大きい」と必要性を認める。ただし、資金はあくまでも「お小遣いの範囲内」(丸山氏)だ。
横山氏も同じ意見だが、「毎回参加しなくてもいい。誘われたら、3回に1回くらい参加するのでちょうどいいのでは」と提案する。そもそもお小遣いが少ないから、ない袖は振れないというわけだ。
▼会社が支援している資格を取得しよう
一方、セミナーや異業種交流会といった自己投資について横山氏は「自己啓発のための社外活動も必要。本当にデキるビジネスマンは、社内飲みと社外飲みを両方適度にやっています」という。クライアントの中には、異業種交流会がきっかけで視野が広がり、社会保険労務士の資格を取得、転職に成功した人もいるそうだ。ただし、「無料のセミナーもありますが、そういうのは中身が薄くて役に立たないことが多い。1回5000円程度を目安にするといいでしょう」(横山氏)。
出世や昇給につながる可能性もある自己投資なら、家計から出してもらうよう、妻に頼んでみてもいい。必要な理由がちゃんとあるなら、妻も納得するだろう。
一方、丸山氏は否定的な見解を示す。
「目的もなく、異業種交流会やセミナーにお金を使うのは無意味。私自身、そういうところに行って仕事につながったことは一度もないし、いまもセミナーには行きません」。
丸山氏はファイナンシャルプランナーや宅建、調理師などの資格を取得し、仕事の幅を広げてきた。いまは大学で心理学を勉強中だ。そうした経験から、「まずは会社からお金の支援がある資格の取得から始めてみては。会社が必要としている資格を取るほうが評価されやすい」と提案する。
独立や転職といった明確な目標がないなら、いまの仕事に役立つ知識を身につけることが先決。それが収入を増やす近道になるという。
家計再生コンサルタント。マイエフピー代表取締役。庶民派ファイナンシャルプランナーとして、1万人以上の赤字家計を再生。
節約アドバイザー。2001年に節約アドバイザーとして独立。ファイナンシャルプランナー、消費生活アドバイザー資格を取得。