自分の才能を知らないサラリーマンは悲劇
ただし、「企業に勤めるサラリーマンは『自分の才能を知らない』という悲劇がある」と本田氏は指摘する。これまで会社で培ってきた人脈やノウハウを使えば、必ずや会社の利益を損なうことなく独立起業することができる。それなのに彼らは、サラリーマンとして企業の中で培ってきた自分のスキルが、外の世界でどのように生かせるのかを知らないのだ。これは、才能をお金に換える「パッケージ化」の方法を知らないともいえる。
「自分の起業家としての才能を見出すためには、起業家として成功した優秀な『メンター』が必要です。私自身はサラリーマンではありませんが、物書きとして本を書きはじめた頃から『女性自身』の元編集長・櫻井秀勲氏にメンターになっていただいています。櫻井氏は飛躍的に雑誌の発行部数を伸ばした、ある意味伝説の編集長なので、世間話をしているだけで『売れる本』をつくるうえでの気づきがあります。新しいビジネスの世界に飛び込むときには、その世界の最前線で仕事をしてきた人の話を聞くことが何よりのヒントになるのです。将来的にビジネスを興したいなら一代で財を成した優秀な起業家を、投資家として食べていきたいなら、『富裕層』『超富裕層』に属する優秀な個人投資家をメンターにしましょう」
また、サラリーマンが自分でビジネスを切り開いていくためには、「箱の外で考える」というスキルを新たに身につける必要があるという。これはどういうことだろうか。
「たとえばABCDという選択肢があって、『どれか選んでください』と言われたとします。サラリーマンの方はほぼ100%の確率でその中のどれかを選ぶのですが、起業家としてやっていくなら『ABCDの中からは選べない』『選びたくない』と言えるようにならなくてはなりません。4つしか選択肢がないように見える局面で、5つめの選択肢を見出すのです。これが、ビジネスを新しい方向へと展開するためのきっかけになります。しかし、この行動は組織の中で協調性を持って働かなくてはならないサラリーマンには許されないことです。そのため、多くの人がこのスキルを眠らせていますが、サラリーマン感覚のまま起業すると、必ず『ビジネスを伸ばす』時点で躓きます。実際にどのような選択をするかはケース・バイ・ケースですが、『箱の外にある選択肢に目を向ける』という練習は、今からはじめておいて損はありません」