安倍改憲は「戦後の終結」か「未来志向」か
先述したとおり、首相は1月5日の自民党本部でのあいさつで「新しい時代にふさわしい憲法」と唱え、「未来志向の改憲」を強調した。「新時代に必要な憲法」「改憲による国民の具体的なメリット」などを明示しなければ、国民の目を改憲に向けさせることは難しい。その意味で「未来志向の改憲」は正しい方向である。
だが、実際は安倍首相の強い思いは、「未来」ではなく、照準は「戦後の終結」で、首相在任中にそれを成し遂げるのが最大の目標ではないのか。2度目の政権ではまったく口にしなくなったが、「戦後レジームからの脱却」こそ、政治家としての自身の使命という考えは消えていない、と見る人は多い。
振り返ると、集団的自衛権の行使容認、バラク・オバマ大統領の広島訪問実現、北方領土返還への挑戦、12月26~28日のオバマ大統領との真珠湾慰霊など、「安倍外交」は「戦後の終結」路線で一貫している。改憲はその集大成と見定め、執念を燃やしているのだろう。現憲法施行70年の「憲法の年」を迎え、安倍改憲の実体が「戦後の終結」か「未来志向」か、国民は何よりもそこを見極める必要がある。