疑問4:南場氏はWELQを見ていたのか。WELQの医療記事を見てどう思ったか
筆者の2つ目の質問は、南場会長に対してのものだ。創業社長である南場氏が2011年に社長職を退いたのは、夫である元USEN取締役・紺屋勝成氏ががんにかかり、その闘病に専念するためだった。キュレーション事業の買収や今回の問題、サイト閉鎖はすべて南場氏が現場を離れている間に起こったことである。
会見が行われた2日前、12月5日に紺屋氏は亡くなられた。その南場氏にWELQのことを質問するのは非常に心苦しいものがあったが、それでもどうしても聞きたいことがあった。夫の闘病生活を支えるため、南場氏はおそらくネットで医療情報、特にがんについての情報を探したはずだ。その中で、WELQの記事を見たことがあったのか。そしてWELQの記事を見たとき、「医療情報がスマートフォンで手軽に検索できるのは良いことだ」と思ったのか、それとも「こんなずさんな情報がネットの検索上位に来るのはひどい」と思ったのだろうか? ……とても聞きづらい質問だったが、南場氏の答えは真摯なものだった。
「大変不覚なことでございますけれども、WELQのそういった情報提供について、まったく認識していませんでした。私は日々もちろん情報を探しています。家族の闘病が始まったときから、インターネット情報を徹底的に調べまして、インターネット上の(医療)情報がそれほど役に立たないとか、がんに効くキノコといったような話がでてきて信頼できないと2011年時点で思いました。そして私の情報収集は、論文と、専門家からのレクチャーを受けるということを中心にしていました。ただ毎日、同じ病気の患者さんのブログは毎日チェックしていました。
そして、この件を知ったのは、実は報道されてからなのですが、『がん』という言葉でWELQの中で検索をしてみて、いくつか出てきた記事を読んだときには『いつこういう重い情報を、医療情報を扱うようになったのか』ということで愕然としたという事実がございます。経営者として非常に不覚であったと……反省しております」