Samsung「Galaxy Note 7」のリコールが問題となっている。バッテリーの過熱、発火というトラブルによるものだが、スマートフォンやノートPC、デジカメにバッテリーは欠かせない。バッテリーの事故はなぜ起きるのか、また安全に使う方法にはどうしたらいいかを考える。
海外で、SamsungのGalaxy Note 7のリコールが大きな問題となっている。バッテリーが異常加熱し、場合によっては発火に至る、というもので、スマートフォンとしてはこれまでで最も深刻なトラブルである。Samsungは同機種のバッテリーの全数交換を発表しており、アメリカ消費者製品安全委員会も約百万台のリコールを発令した。航空各社は、Galaxy Note 7を通電状態のまま航空機に乗らないよう警告を発している。ここでいう「通電状態」は、いわゆるスリープ状態を含むので、「完全に電源を切った」状態でなければいけない、ということだ。
当該製品は日本ではまだ発売されておらず、直接的な問題ではない。しかし、これを「海の向こうで起きたこと」「特定のメーカーが悪いだけ」と考えるべきではない。ここまで深刻な例ではないが、いわゆるモバイルバッテリーやノートPCまで含めれば、発火事故は日常的に起きており、消費者庁は年に数件、バッテリー関連のリコールを発表している。
我々は、日々スマートフォンやノートPCを使って暮らしている。もはやこれらの機器なしに仕事をすることも、なにかを楽しむのも難しい。今回は、なぜバッテリーは爆発するのか、そして、日常的にそれを避けるにはどうすべきかを考えてみたい。
100万個に数個でも許されない「バッテリーの不良」
Galaxy Note 7がトラブルを起こした原因を、Samsungは「バッテリーにある」と説明している。詳細はまだ不明だが、Galaxy Note 7に採用されたバッテリーのうち、ある一定数に、「通電中、異常発熱を伴い、最悪の場合発火に至る」ものがあった、とされている。
そのため、Samsungはバッテリーを全数交換して、事態の収拾に努めている。いくつかの報道も合わせて考えると、問題があるバッテリーでは、通電中になんらかの理由から、内部で「異常な短絡(ショート)」が起きて、それが原因で異常発熱が起き、バッテリー内部の可燃性が高い有機材が発火した、と考えるのが妥当と思える。こうしたトラブルは、バッテリーの製造段階の不良で金属片が混入したり、内部を分割する「セパレーター」と呼ばれる部材に不良があったりした場合などに起きやすい。
では、Galaxy Note 7のトラブルはどのくらいの頻度で起きたのか? 9月2日に同社が発表した段階では、出荷した製品の「0.0024%」が該当する、と発表された。
この数字は、一見少ないように見える。実際、いくつかのニュースには「わずか」という形容詞を使ったものもあった。だが、「0.0024%」は、バッテリー関連業界の水準でいえば「信じられないくらい大きい値」である。バッテリーに関しては、通常「数ppm」でリコールが決まる。ppmとは「パーツ・パー・ミリオン」。100万分のいくらかを表すもので、1ppmは0.0001%にあたる。だから、0.0024%とは24ppmであり、他のリコール例に比べても1桁多い。