5月10日、トヨタ自動車(以下トヨタ)と米NVIDIA(エヌビディア)が提携し、数年以内に自動運転車を発売すると発表したニュースが話題になっている。トヨタが自動運転システムにAIを活用すると明言したこと、そしてトヨタが提携に選んだ相手が、半導体メーカー最大手のインテルや2位のサムスン、スマートフォン向けではトップのクアルコムではなく、業界16位のNVIDIAだったことも驚きを呼んでいる。

今回の提携は、トヨタが市場導入を予定している自動運転車に、NVIDIAのAI(人工知能)を使った自動運転プラットフォーム「DRIVE PX」を搭載するという内容だ。「DRIVE PX」とは、自動運転向けの車載コンピューターと、それを利用してAIを実現するソフトウェアを組み合わせたプラットフォームで、日本の自動車メーカーとして採用するのはトヨタが初めて。海外では、すでに米国のテスラ、ドイツのアウディとダイムラー、スウェーデンのボルボが採用しており、トヨタは5社目となる。

NVIDIAが5月8日~11日(現地時間)に米国カリフォルニア州サンノゼで行ったイベントで、トヨタとの提携が発表された。

NVIDIAは米国のシリコンバレーに本社を置く半導体メーカーだ。現在はゲーミングマシン向けの半導体、データセンター向け半導体、自動車向け半導体という3つの事業が柱となっている。

NVIDIAはなぜトヨタに、いやトヨタだけでなくテスラや、アウディ、ダイムラーといったプレミアムカーのトップメーカーに選ばれているのだろうか? その理由は、NVIDIAがAIの世界ではトップを走る半導体メーカーだからだ。


NVIDIAの主力ビジネスの1つはPC向けのゲーミング事業。世界中で流行しているゲーミングPCの多くはNVIDIAのGPUを採用している(左)。2つめの主力事業がデータセンター事業。NVIDIAが販売しているスーパーコンピュータのDGX-1は、AIの開発者に大人気で生産が追いつかないほどだという。日本でも理研がAI研究用として納入している(右)。