AI向けの半導体ではトップメーカーのNVIDIA
NVIDIAは、1993年にシリコンバレーで創業した比較的若い会社。当初はグラフィックス処理を行う半導体(後にGPUと呼ばれるようになる)を開発、販売するメーカーとしてスタートした。1995年に「NV1」という最初の製品を発売するも、これが全く鳴かず飛ばず。創業して数年で倒産を心配されたほどの波乱のスタートだったが、1997年に発売した「RIVA128」という2世代目の製品が大ヒット。またたく間にPC向けのGPU市場のトップベンダーにのし上がった。
そんなNVIDIAに大きな転機が訪れたのが、2006年。それまでグラフィックス処理専用として販売されていたGPUに、より一般的な処理も可能にするソフトウェアの仕組みとなる“CUDA”(クーダ)を導入し、データセンター向けの半導体としても利用できるようにしたのだ。これにより、データセンター向けの半導体では王者だったインテルの製品を、処理によっては性能で上回るようになった。
2010年代に入ると、AIの実現にNVIDIAのGPUが利用されるようになる。NVIDIAのGPUを利用してAIを実現すると、他社の半導体を利用した場合に比べて1つ桁が違う速度で演算できるようになるため、AIの研究者達がこぞってNVIDIAのGPUを購入するというブームが起きたのだ。これにより、NVIDIAはAI向け半導体の第一人者というポジションを確立したのだ。
そしてNVIDIAはそのGPUを利用したAIを、今度は自動車に持ち込もうとしている。NVIDIAのGPUで実現されているAIは、訓練が進むとカメラなどの画像情報などを元にして常に周囲360度の状況を把握しながら、人間と同じように自動車を操作することが可能になる。自動車メーカーはAIで先行していることを評価して、NVIDIAの自動運転プラットフォームの採用を決めているのだ。