疑問1:「iemo」「MERY」買収時に、著作権違反サイトという認識はなかったのか
DeNAのキュレーションプラットフォーム事業は、2014年にiemoとMERY(運営会社:ペロリ)を買収したところから始まっている。買収する場合には対象企業や事業のデューデリジェンス(財務、法務などさまざまな観点からの調査。その結果を受けて契約内容や買収額を決める)が行われるのが常だ。DeNAがiemoとペロリを買収するときに、キュレーション事業について著作権違反という認識があり、今回のような問題が起こる可能性があることを買収時にある程度予見していたのか。あるいはデューデリジェンスでの説明が正確でなかったために誤認していたのだろうか。
この質問に対し、守安氏は以下のように答えている。「買収時に当然デューデリジェンスは実施した。その中で著作権に対する考え方、法的な観点からリスクは一部あるかもしれないと分かった上で買収の判断を行いました。ただその時『法的な観点のみから見れば、このような考え方で大丈夫なんじゃないか』という議論があったが、本来その時に『もっと著作権者の方がどのようにこの事業を考えるのかを含め、配慮が不十分だったのではないか』と反省しているところです」
疑問2:著作権侵害で問題になっていた人物をなぜ採用したのか
iemoとMERYの買収後すぐ、キュレーションプラットフォーム事業を立ち上げるタイミングで合流したメンバーの中には、その頃日本で著作権侵害が問題視されたため、運営サイトが閉鎖された関係者も混じっていたことが知られている。すでに著作権侵害で問題を起こしている人たちを採用したのはなぜなのか。
この質問に対し、守安氏は「そのように指摘されても仕方がない。著作権者に対する配慮を含め、当初の認識が甘かった」としか答えなかったが、続けて南場氏は以下のように話している。
「その意思決定をした場に私もおりました。問題のある個人を採用するのはどうなのか、と経営会議でも議論になりました。しかし問題を起こしたのは非常に若い人物で、私どもとしては、こうした問題を決して起こしてはいけないと思っています。ただ、その若者が、ネット上で大炎上して心を痛めている、大反省をしていて、すでにお詫びもしているというのであれば、もう一回チャンスを与えてみようじゃないかということで、『私に会わせてもらえないか』と経営会議で私自身が発言し、その人物にも会って確認したのです。
インターネット文化の発展のプロセスにおいて、こうした大きな間違いを起こしてしまった若者に再度チャンスを与える。これは安易に行ったわけではなく、経営会議でもそこが大きな論点となり、そういう人物を入れて良いのかと侃々諤々の議論がございました。
その意思決定よりも、採用した後に、当社としてしっかりと教育ができたのか。当社自身が結果として同じような過ちを犯してしまったということ、これはその後の私どもの認識の甘さだったと考えています」