現場を知る人物が答えない限り、問題は何も解決しない

会見を通して強く感じたのは、守安氏は本当にメディア事業を行っている自覚があるのだろうかという違和感だった。DeNAのキュレーションサイトにおける記事作成プロセスは、明らかに著作権の侵害に当たるが、守安氏は会見中一貫して「著作権を侵害してはいけないということを基本方針にしていた」「著作権への配慮に欠けていた」「他サイトの権利を侵害しかねない」という言い方しかしていなかった。少し突っ込んだ質問に対しては「分からない」「第三者調査委員会の報告を待つ」としか答えない。

守安氏よりも具体的に問いに答えられる人がいるとすれば、それは今回会見に現れなかった、キュレーションプラットフォームの現場を統括する事業責任者だろう。DeNAのキュレーションプラットフォーム事業は、2014年にMERYとiemoを買収したことから始まっている。iemoは住まいやインテリアに特化したキュレーションサイトを運営する企業で、その代表だったのが村田マリ氏だ。現在村田氏はDeNAの執行役員として、MERY以外の同社のすべてのキュレーションプラットフォーム事業を統括する立場にあるが、今回これだけ大きな騒ぎになっているにも関わらず、現在もシンガポールにおり、日本には戻ってきていないという。

DeNAにとってメディア事業とは何なのか。今回指摘された問題点を一つ一つ解決し、本当に真摯にメディア事業に取り組んでいくつもりがあるのか。それはどのように進めれば実現できるのか。……今回の長い会見では出なかった答えに、DeNAは答える責任があるはずだ。

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