家事時間 女性は男性の5倍(日本)、1.5倍(欧米)

最後に、二次元配置のグラフをあともう一つ。家事時間のジェンダー差の国際比較です。皆さんもご存じのように、日本では家事時間の男女差がとても大きくなっています。2014年公表の国際統計によると、成人の1日あたりの平均家事時間は、女性が299分であるのに対し、男性はたった62分です。

これは日本の数値ですが、図1と同じ二次元散布図にて、26か国の男女の平均家事時間を表現してみましょう。横軸に女性、縦軸に男性の値をとった座標上に、各国を配置してみます。

日本の男性の家事時間は、国際的にみて短くなっています。それでいて女性の家事時間は長いものですから、「女性/男性」の倍率は高い。299分/62分=4.8倍にもなります。お隣の韓国は5.1倍です。

上記のグラフでは、こうしたジェンダー倍率の水準が分かるよう、工夫されています。図の斜線は、女性が男性の何倍かという倍率のラインです。5.0倍のラインは、原点(0、0)と(80、400)の2点を結んだ直線なり。こういう線を座標上に何本か引くことで、ジェンダー倍率のゾーンを区分けでき、各国の家事時間の性差を知る目安になります。

北欧諸国は軒並み1.5倍以下で、家事時間の性差が小さいことが知られます。さすがは、男女平等の先進諸国ですね。欧米諸国は、1.5~2.0倍というところ。それに比べ、東アジアの日本と韓国はおよそ5倍で、家事負担の性差が主要先進国の中で格段に大きいことが知られます。「男は仕事、女は家庭」という、伝統的性役割観が根強いためでしょう。最近の若い世代に限れば、また違った結果になるかと思いますが。

私は欲張りで、限られたスペースの中でいろいろな情報を表現したくなるのですが、こういうちょっとしたサービスを添えるのもいいのではないか、と思うのです。

今回を含め3回にわけて、8つの風変わりなグラフを紹介してきました。私のエゴが入った代物ばかりで、皆さんの参考になるかは分かりませんが、「こういうやり方もあるのか」と思っていただければ幸いです。

他にも紹介したいグラフはありますが、それは追々、本連載の記事において開陳していくことにいたします。今後とも、お付き合いくださいませ。

(図版=舞田敏彦)
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