そんな地元愛に溢れた47都道府県の一番搾りが飲める「キリン一番搾りガーデン」は、20~30代と思しき人たちでにぎわっていた。南青山という立地もさることながら、オープンエアにウッドデッキのおしゃれなスペースと、まるで公園にいるようなカジュアルな立ち呑み中心のスタイルがウケた。着席式だった昨年よりも来店者数は増加。スタッフによると、女性客のほうが多いという。

東京・南青山の期間限定「キリン一番搾りガーデン」。ウッドデッキの立ち呑み空間だが、若い女性らがビールを片手につどう。

夕方オープンの平日で1日1000杯以上、午後オープンの休日は2000杯以上売れるというから、ビール離れはどこへやら。ここにいると、若者がビール嫌いになったのではなく、若者にウケる提案をしてこなかっただけではとも感じる。

若者も実はビールが好きなのだ。

(文中敬称略)

キリンビール社長 布施孝之 「無謀と思われてもGoを出したワケ」

販売数量、シェアともに厳しい状況の中、「47都道府県一番搾り」の発売は大きな意味がありました。

まず、お客さまに喜ばれ、自分たちのビールと感じていただけていること。ビールでコミュニケーションが広がり、地域への誇りも感じてもらえるでしょう。

コンセプトづくりから各支社に任せたため、社内も活性化しています。社員にとっても“自分たちのビール”であり、地域に寄り添う気持ちが高まり、仕事への自信や誇りが生まれています。また、昨秋からの短期間のプロジェクトをやり遂げたことで、リスクを怖がらずにチャレンジする社風に変わってきています。技術力の高さも再確認できました。

日本のビールは画一的でおもしろくないというイメージも一新でき、若い人にもビールの魅力を伝えられたと思います。47都道府県の一番搾りの反響は大きく、年間目標数を上方修正しています。販売数量やシェアも年間で上向くことを期待しています。
(矢木隆一(布施社長、キリン一番搾りガーデン)、比田勝大直=撮影 PIXTA=写真)
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