“仕事の悩みをほぐす”禅語

【萬法一如(ばんぽういちにょ)】

すべて繋がっているからこそ、互いのことを考えて生きる。「働く」の意味は、社会のためになる何かをすることで、お金を稼ぐのは働く目的のひとつでしかありません。

【枯木裏龍吟(こぼくりのりゅうぎん)】

枯れ木であっても、強い風に煽られると龍のような鳴き声をあげるという意味。役に立たない人間は一人もいません。たとえ小さな働きでも、きっと誰かの役に立っているのです。

【水到渠成(すいとうきょせい)】

水が流れるところには自然と渠(みぞ)ができるという意味。努力は必ずしも実るとは限りませんが、結果に執着せず、ひたすら努力を続ければ道は開けてくるものです。

【面壁九年(めんぺきくねん)】

禅宗の開祖・達磨大師は少林寺で9年間、壁に向かって坐禅を組み修行を深めました。投げ出さずに継続することが大切です。焦らずに目の前の仕事に集中しましょう。

【竹有上下節(たけにじょうげのふしあり)】

竹には節があるから真っ直ぐに長く伸びることができるのです。あれもこれもと手を出して中途半端になっていませんか。仕事も同じで、ひとつずつ完結させるのが原則です。

【喫茶喫飯(きっさきっぱん)】

お茶を飲むときは飲むことに、ご飯のときは食べることに集中するという意味。仕事も没頭すれば楽しさが湧いてきます。シンプルに「今」に集中することが禅の考えの原点です。

【動中静(どうちゅうのじょう)】

周りが気になるのは当然のことですが、神経質になる必要はありません。世間の評価は重要ではないのです。騒がしい日常にいても惑わされず、心を静かに保ちましょう。

【一日不作一日不食(いちにちなさざればいちにちくらわず)】

「働かざる者食うべからず」という意味ではありません。他人や社会のために今、自分ができる、すべきことをする。それこそが人間の務めなのです。

【夏炉冬扇(かろとうせん)】

夏のいろりと冬の扇子。今は不要でも必ず役に立つときがやってくるという意味です。人に必要とされたいというのは根本的な欲求ですが、出番を忍耐強く待つことも大事です。

(構成=遠藤 成 写真=若杉憲司)
【関連記事】
仕事のプレッシャーと、どう向き合えばいいか
目の前のことをただ、やり続けよ――仏教が教える対人関係の奥義
アドラーだけじゃない、仕事に役立つ「心理学の名著」
“失敗を恐れない人”の思考3サイクル
これだけは知っておきたい坐禅&瞑想の基本