悩みや苦しみを和らげるために生まれた仏教。ビジネスマンの代表的な悩みである「お金」について、徳雄山建功寺の枡野俊明住職にお話をうかがった。
生活を営むにはお金が必要不可欠です。しかし、お金は本来、人の役に立ったことへの対価。株とか為替など、生産の実体が伴わない、数字だけでお金を稼ぐのは、人を怠け者にしてしまうでしょうね。
禅の喩えで、こんな話があります。2人の牛飼いがいて、1人の牛飼いは99頭牛を飼っている。はたから見ればとても裕福なのだけれど、この人は、あと1頭いれば100頭なのにとしか考えていない。もう1人の人は3頭しかいないけれど、それで家族を養い、心穏やかに暮らしている。すると99頭持っている牛飼いがやってきて、もう1頭いないと苦しいから譲ってくれと言うので、そんなに困っているのだったらと譲り、2頭になっても工夫して満足した生活を送る。一方、100頭を集めた牛飼いは、1日も早く105頭にしなくてはとまた悩む……。
執着には終わりがありません。お釈迦様が亡くなられる前に説かれた説法をまとめた『遺教経(ゆいきょうぎょう)』というお経に<知足(ちそく)>ということが説かれています。どんなに裕福な環境でも満足を知らなければ満たされない。地面に伏したような生活をしていても、これで充分だと感じることができれば、幸せを感じられると。
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