注目すべきなのは、拡張現実が、周辺の環境に対して、新たな興味を持つきっかけになるということである。
ゲームをプレーするうえで必要なアイテムを手に入れることができる「ポケストップ」や、対戦ができる「ジム」が地図の上に表示されることで、身近なエリアにあった意外な名所旧跡、注目のスポットに関心を持つ人が増えている。
周囲への見方が変われば、人々の行動が影響を受ける。人の流れが変われば、お金の流れも変化する。
ポケモンが出現しやすいようにしたり、ゲームに必要なアイテムが手に入ったりというように、ショップやレストランがプロモーションをすることも可能である。「ポケノミクス」という言葉も生まれた。
将来的には、美術館や博物館での説明、旅行ガイドや、学習教材、その他様々なかたちでの拡張現実の応用が進んでいくことだろう。ポケモンGOは、そのような未来に対する、人々の心の中の障壁を下げた。
ポケモンは、架空のモンスターたちだが、人工知能のパターン認識技術を応用して、現実の生きもの(昆虫や鳥、植物)を探し、観賞するゲームも可能である。ゲームを楽しみながら、環境アセスメントをするシステムも生まれるだろう。
ポケモンGOは未来への入り口。人々が熱狂する本当の理由は、その「未来感覚」にこそあるのかもしれない。
(写真=AFLO)