「のれん」を守る本当の闘い

プロジェクトチームのなかには、地元の大学を卒業したものの就活に失敗し、嫌々ながら家業を手伝う宮沢の息子・大地がいた。なげやりな仕事態度と当てもなく繰り返す中途採用の面接。しかしながら、繭を原料にした新素材でシューズのソール(靴底)を成形しようと必死に取り組む技術顧問・飯山晴之の真摯さ、執念に触れて次第にものづくりの醍醐味に目覚めていく。

そんな彼らの努力は、これまでになく超軽量で地面を掴むような感覚のランニングシューズとして実を結ぶ。足を故障し再起に賭ける大手食品会社の選手・茂木裕人が復帰戦のニューイヤー駅伝で履き、好走した。紺地の「陸王」が上州路を駆け抜ける光景に、こはぜ屋の社員たち、とりわけ縫製を受け持った女性社員は嬉しさに涙を流しながら声援を送った。

順風満帆に見えたが、さらなる障害が彼らの前に立ちはだかる。たった1台しかなかったソールの製造設備の故障だ。もはや修理はできず、数億円の設備投資が必要になる。そこに外資のアパレルメーカーが合併話を持ちかける。それでも、のれんを守ろうとする宮沢社長。考え抜いた末の逆提案、新素材提供に対する見返りの同社からの融資だった。かろうじて守られた「のれん」だが、闘いはまだこれからだ。