売り上げも絶好調に
ミズノによると、バレーボールのシューズ売り上げは、2012年度の約9億3000万円から、13年度が約11億円、14年度は約11億5000万円、15年度は約13億5000万円と順調に伸びている。「推計値ながら、バレーボールのシューズのトップシェアは確保したとみています」と芹澤さんは言うのだった。
ところで、カラーストーリーに関し、選手の評判はどうだったのだろう。きっと色の好き嫌いはあるはずだ。それまではほとんど白色のシューズから、まずは赤色シューズとなった。木村からは「この濃い赤は嫌いです」と言われたそうだ。でもカラーストーリーを理解してもらった。芹澤さんが述懐する。
「ストレートにいうと、(選手には)賛否両論がありました。眞鍋監督から各選手に(パフォーマンス、機能性として)“合わないものを無理やり使わせるのはやめてくれ”と言われていたので、選手としっかり対話をして、納得したものを提供するよう心掛けてきました。性能も同じです。プレースタイルだけでなく、ケガの経験も調べたりして、性能をどんどん上げて、それぞれ構造が微妙に違うシューズを提供させてもらっています」
じつはリオ五輪で履くシューズには、かかととベロ(足の甲部分の内側につく泥除け)には金色の「ミズノランバードロゴ」(走っている鳥のデザイン)が付いている。その願いは? と聞けば、芹澤さんは気恥ずかしそうに少し笑い、こう答えた。
「このシューズの“火の鳥ストーリー”を金色のメダルで締めてほしいのです」
さて勝利を導くカラーストーリーとなるのか。裏方のメーカーは、リオ五輪でハッピーエンドの物語を想定している。