親子でプロを目指し、小学生のうちからスポーツに打ち込む子が増えている。しかし、小学生のうちにハードな練習をすることで大きなケガを引き起こすことがある。

「成長期の子供の骨は大人の骨とは違い、骨の端に近い部分が成長軟骨といわれる軟骨になっています。この軟らかい骨に過度のストレスがかかり続けると、さまざまな障害を発症します」

そう話すのは、東京・文京区でこやまクリニックを開く、自身も柔道などのスポーツ経験が豊富な小山郁先生。スポーツでケガをすることを広くスポーツ障害というが、なかには一生にわたるケガを負ってしまうこともある。

「例えば、野球のバッティング、柔道の投げ込み、バレーボールのスパイクなど腰をひねる動作を過度に繰り返すことで、腰椎に負担がかかり続けると腰椎分離症になる場合があります。腰の骨が分離してしまい、一生元に戻らなくなってしまうこともあります」

練習をしたいために痛みを我慢してしまう子も。親や指導者は子供の様子を気にかけよう。

成長期に無理をすることで、小学生のうちは大活躍していても、ケガしてその後伸びなかった子も残念ながら存在する。

「同じ学年でも体の発育の速い子と遅い子には約5年分の差があるといわれています。スポーツは一般的に体が大きい子が有利です。チームスポーツだと、身体的な成長の速い体の大きな子が、野球ならエースとなり、頼られることで、結果的に大きな負担がかかってしまい、スポーツ障害が起きてしまうケースがあります。また成長の遅い子が皆と同じメニューをこなそうとすると成長途上の身体に強い負担がかかることになります」

では、スポーツ障害を防ぐためには何をすればいいのだろう。一つはトレーニングの方法に注意することだ。

「身長が伸びている時期は、まだ子供の骨という証拠。大人と同じトレーニング方法は無茶です。腰、ひじ、肩、膝など特定の場所に過度な負荷がかかる運動は避けましょう。身長の伸びが年に1cm以下となったら、骨が大人の骨になっているので、大人と同じような運動もできるようになります」

また、体が硬いよりは軟らかいほうがケガをしにくいと思っている人は多いが、体が軟らかすぎることでスポーツ障害が起きやすい場合があるという。

「この場合、関節が軟らかいというよりは、緩いと考えたほうがいいでしょう。その場合も関節の軟骨に負荷がかかりやすくなります」

男子よりも女子に多いそうだが、股関節が180度以上開く、背中で上下から両手の指を組むことができる、お辞儀をしたときに手のひらが床につく、などの場合は、関節が緩い可能性がある。お子さんの成長が速い場合や遅い場合、体が軟らかすぎる場合、過度な練習によるスポーツ障害に気を付けたい。

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