離婚相手に優しい親が親権を得やすくなる

たとえ親権を得られなくても、子どもと定期的に会えるならいいという父親もいるだろう。しかし、親権のない側が子どもと会えるのはせいぜい月1~2回が相場だ。子どもを連れ去られると、残された側は親権を失い子どもにもなかなか会えない――。

じつは今年3月、そうした現状に一石を投じる判決が千葉家裁松戸支部で出た。子どもを連れ去られた夫が妻と親権を争っていた離婚訴訟で、面会交流を積極的に認めた夫に親権が認められたのだ。妻が夫に提案した面会交流は「月1回」。一方、夫は「自分が親権を取れば子を妻に年間100日程度会わせる」と主張。裁判所は夫の提案を採用したほうが、子どもは両親の愛情を受けて健全に成長すると判断したわけだ。

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3月に千葉家裁松戸支部で出た判決

この判決は相手に寛容性を示した側が有利になる“フレンドリーペアレントルール”に基づいている。このルールを適用すると、親権が欲しければ相手との面会交流を増やす必要があるので、子どもは離婚後も両方の親と会える理想的な状況に近づいていく。

「調停や和解に至ったケースでは、これまでも、離婚後の両親から自然で十分な養育を受けることに重点が置かれたこともありました。フレンドリーペアレントルールという枠組み以前に、子の利益のための当たり前の価値観だからでしょう。この価値観が、今回、判決となって明らかになったのは画期的です」

(図版作成=大橋昭一)
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