アメリカの離婚とまったく違う

離婚したい夫と離婚したくない妻の泥沼バトル。高嶋政伸と美元のような事例は世の中に実はゴロゴロしています。一体なぜ当事者の片方が事実上の破綻を背景に離婚したいと強く主張しているのに、離婚が成立しないのでしょうか。

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離婚決意で始まる情報戦争

その原因は、民法770条にあります。そこには離婚できる原因として「配偶者に不貞な行為があったとき」「配偶者から悪意で遺棄されたとき」「配偶者の生死が3年以上明らかでないとき」「配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき」「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」という5つの項目が記してあります。

前4つの項目に当てはまるものがない場合、離婚調停およびその後の裁判は泥沼です。つまり性格の不一致だけでは離婚は難しく、5つ目の「婚姻を継続し難い重大な事由」とは何かを巡って泥沼化するのです。

双方に浮気もDVもないときに、別れたい夫と別れたくない妻で争った場合、あくまで一般的な話ですが、5年以上別居状態が続いていれば裁判所も離婚を認める傾向にあります。5年は長いと考える人も多いでしょうが、裁判を起こしてもそのぐらいの期間はかかってしまいます。ですから依頼人には、長い人生を考えて耐えてもらうようお話ししています。

早く離婚を望む人間がこの現実を知ったときに、次にとる行動はだいたい同じです。つまり「私立探偵を雇い、相手の不貞行為を証拠にとる」のです。ケースにもよりますが、だいたい20万~100万円程度の料金で浮気調査をしてくれます。そこで浮気が判明しなかった場合は、その探偵に「別れさせ屋」を事実上斡旋してもらい、相手に強引に浮気をさせてしまうというケースもあるようです。相手の不貞行為の証拠を得られれば、別れられたうえに慰謝料を請求することが可能です。