(PIXTA=写真)

とはいえ、慰謝料は100万円単位の争いですので、離婚バトルで、関係者が最も大きな関心を実際上持つのは、「子どもの親権および養育費」と「財産分与」といったところでしょうか。ただ、親権は、母親が圧倒的に有利な立場にあるので、子どもの問題については、毎月の養育費の額および支払い終期に争点が絞られることが多いのが実情です。

養育費の毎月の金額については、非常に揉める印象が一般にはありますが、現在の実務は、「養育費・婚姻費用算定表」にしたがって動いており、夫と妻の収入を基におおよその相場が決まっています。したがって、争点は支払い終期、つまり大学進学時の費用をどうするかなどに絞られることが多く、付随問題として面会交流をどうするかを決める程度です。

問題は財産分与です。多くの方は誤解していますが、アメリカの一部のセレブ夫婦に見られるような、夫婦の全財産の半分近くを分け合うような結論が出ることは日本ではまずありえません。日本では夫婦が婚姻中に共同で築き上げた財産だけが財産分与の対象となるのが原則です。

離婚をする相手に財産をとられたくない、逆に離婚の際にできるだけ財産を分捕りたいと考える人も多いので、財産分与は揉めます。財産を守る側の立場で対応策の一例を挙げるとすれば、別居でお金がかかるなどと理由を付けて、相手がすでに知っている銀行口座から毎月20万円ずつ引き出し、相手の知らない銀行の貸金庫などに隠しておく、といったところです。そうして、いざ財産分与の際には残高が空になった口座を見せて財産があたかもないようにしてしまうのです。

離婚問題は、財産分与の分野を中心に、離婚を決意した時点で情報戦が始まると覚悟してください。

※すべて雑誌掲載当時

(構成=飯島 豊 撮影=小原孝博 写真=PIXTA)
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