「権威依存度」によって変わる上司への態度

コッターとハーバード・ビジネス・スクールで同僚のジョン・ギャバロは、1980年、ハーバード・ビジネス・レビューに「Managing Your Boss」を発表した。今では古典となったこの論文も、出版当時は認められなかった。80年代初頭に一般的だったトップダウンの企業風土では、部下や同僚と良好な関係を築くために気を配るのは優れた管理職の務めであるとされ、部下が上司を管理することは、政治的下心がある場合を除いて意味をなさなかったからだ。

ギャバロとコッターの論文では、上司を管理するとはおもねることではなく、より効率的に仕事をすることを説いていた。詮じ詰めれば、企業を成功に導くのは、顧客、サプライヤー、販売業者との連携である。上司と部下の関係も、企業にとっては重要な連携のひとつということだ。

上司と部下は、相互依存関係にある。上司の目的および制約、そしてプレッシャーについて理解すればするほど、部下は上司の成功を手助けできる。そうすれば、上司は部下の仕事を発展させようとし、部下の優先順位が企業の戦略目標に沿っているか気を配り、また、部下がよい仕事をするための手助けをしようとするだろう。