<目標を見失うな>

しかし、部下も自分の目標をあきらめる必要はないと、ハイテク関連の大企業で人材管理を担当するアニタ・ベラニは言う。彼女はインドで3年間にわたって、金融サービス会社の人材管理チームの一員として働いた。彼女は仕事が好きだったが、上司との関係にはいつも悩んでいた。努力したが、上司の態度は変わらなかった。それでも、彼女のチームは他部門が注目するような業績を挙げた。

やがてベラニは、別会社で管理職のポストを手に入れた。現在彼女は、やっかいな上司に嫌気がさして最初の会社を早々と退職していたら、現在の職は得られなかったかもしれないと感じている。上司の好む仕事の進め方に合わせることを学ぶことは、「自分のキャリアをコントロールすることでもある。この能力をいったん身につけると、どんな上司の下でも働くことができるようになる」。

信頼関係の構築で「余裕」ができる

「幸せな結婚と同じで、上司の管理は日々の仕事だ」と『Managing Up』共著者のデボラ・シンガー・ドブソンは言う。「相手に合わせて自分を変えるのにうんざりしたと触れ回る夫や妻はいない。貴重な人間関係ならば、それを持続するために、毎日のように相手に合わせて自分を変えようと努力をするものなのだから」。

 『Love'Em or Lose'Em』共著者のシャロン・ジョーダン-エバンスも同じ意見だ。だが、上司との間にいったん信頼関係を築くことに成功すれば、上司管理に必要な時間は激減するはずだ。

※参考文献
Throwing the Elephant: Zen andthe Art of Managing Up by Stanley Bing(Harper Collins, 2002)
Managing Up: 59 Ways to Build aCareer・advancing Relationship with Your Boss by Michael and Debrah Singer Dobson (AMACOM, 1999)
Love'Em or Lose'Em: Getting Good People to Stay by Beverly Kaye andSharon Jordan・Evans(Better・Koehler, 2002)
The Heart of Change: Real・Life Stories of How People Change Their Organizations by John P. Kotter and Dan. S. Cohen(Harvard Business School Press, 2002)

(翻訳=ディプロマット)