対策が進む一方で、課題も浮き彫りになった。多いのは「収集・保管・廃棄」「安全管理措置」「業務量の増大」の3分野。短期的には「業務量の増大」が深刻だ。

「人事・総務部門は年末調整や賞与支給で年末は多忙ですが、2015年は新たな業務が加わりました。まず、12月から従業員にストレス度合いを聞く『ストレスチェック』が従業員50人以上の事業所に義務化されました。また、301人以上の企業では、今年の『女性活躍推進法』の施行にともない、勤続年数の男女差や女性管理職比率などの把握や行動計画の公表が義務化されます。そこへマイナンバーの実務が重なり、『三重苦だ』と嘆く人もいます」

にもかかわらず、ほとんどの企業は事務取扱部門の人員を増やしておらず、外部への業務委託も4割近くが「しない」という。人件費を除いた初期投資額も、45%が「50万円未満」と少なめだ。なぜこんなことが起きるのか。

「マイナンバー法は罰則が厳しく、評判の低下など漏洩した際のリスクが大きい。人員を増やしても外部に委託しても、結局は管理・監督責任を問われるので、リスク対策として少人数で手堅く運営したほうがいいという判断でしょう」

これが総務・人事「3大課題」だ