子育ての「負担感」は収入では補えない
20~30代の「子育て世代」の女性は相対的に幸福度が低く、さらに共働きの女性は専業主婦よりも幸福度が低い。
これは、米シラキュース大学政治学部の上田路子研究助教授と早稲田大学教育・総合科学学術院の川原健太郎助教が、内閣府の「生活の質に関する調査」(11年度)を分析した結果だ。上田氏らによると、子どものいる若年層の女性は、子どもがいない同年代の女性に比べて、現在の幸福感、生活満足度、5年後の幸福感のいずれもが低い傾向となった。
幸福度は世帯収入と相関がある。だが収入の高さは子育てに関する負担感を補うわけではない。世帯収入の高い女性は、収入レベルが低い女性に比べて全般的に幸福度が高いものの、子どもがいる女性とそうでない女性の幸福度の差はかえって大きかった。また、常用雇用され、かつ子どもがいる女性は、現在の幸福感も生活満足度も低かった。
「この結果は、共働きをしている女性が子育ての負担を多く感じているからだと考えられます」(上田氏)
ちなみに共働きの家庭より、専業主婦の家庭のほうが、子どもの学力は高い。お茶の水女子大学が「全国学力・学習状況調査」を分析したところ、「母親の現在の仕事」が「無職」の子どもの正答率は、小六と中三のいずれの項目についても「常勤職員」より高かった。なお報告書では「父親が常勤職員の子どもの学力が最も高いが、母親については明確な関係は見られない」としている。
子育て期の妻への向き合い方が、家族の将来を左右しそうだ。