事と次第では自宅に日参も

では、どうやって釈明したらいいか。兼本氏が勧めるのは「手書きのわび状をしたためる」ということだ。メール全盛の時代であるだけに、全文手書きの手紙は異彩を放つ。直筆で切々と訴えれば、少なくとも書き手の真剣さは伝わるだろう。

「大企業の社長だった人の話です。その人はオーナー会長に諮らずに投資を決めたとして、突然解任されてしまいました。その後、私とキャリア面談を重ねるなかで、『やはり元の会社に戻りたいので、直筆の手紙を書いています』といわれました。少し経ったころ、その人は本当に元の会社のグループ企業に復帰しました。オーナー会長に直筆のわび状を届けたことで、誤解が解けたのだと思います。同様の話は、ほかでも聞いたことがあります」

兼本氏のいうとおり、トップの不興を買うということは「戦国時代なら切腹もの」。そこまで重大なことなら、トップの自宅に日参して、面会を願うということも「極端かもしれませんが、事と次第によっては考えるべきかもしれません」(兼本氏)。

経営者JP社長 井上和幸
1989年、早稲田大学政治経済学部卒業後、リクルート入社。人事部門、広報室、新規事業立ち上げを経て、2000年に人材コンサルティング会社取締役就任。現在のリクルートエグゼクティブエージェントを経て、10年から現職。著書に『社長になる人の条件』など。
 
プロノバ社長 岡島悦子
筑波大学国際関係学類卒業。三菱商事、米ハーバード大学経営大学院(MBA)、マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て、2002年、グロービス・マネジメント・バンクの設立に参画。05年代表取締役。07年から現職。アステラス製薬などの社外取締役もつとめる。
 
ストラテジックパートナーズジャパン代表取締役 兼本尚昌
山口県出身。防衛大学校人文社会科学科国際関係論専攻を卒業後、ダンアンドブラッドストリートジャパン、ガートナージャパンなどを経て、ストラテジックパートナーズジャパンを設立。著書に『プロ・ヘッドハンターが教える 仕事ができる人のひとつ上の働き方』など。
(宇佐美雅浩=撮影)
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