役員=経営陣にまで出世できる人は一握り。部課長止まりの人と、どう違うのか。正念場の行動パターンから読み解いてみよう。

傍流へ左遷されたとき

保守本流を歩んできたつもりのビジネスマンが「左遷ではないか」と受け止め、心中穏やかでいられないのが地方や非主流部門への配置転換だ。しかし、プロノバ社長の岡島悦子氏によれば、これこそが修羅場経験を積めるまたとない機会だ。

「たとえば子会社に出向して自分の責任で意思決定できるとしたら貴重なチャンス。小さな組織のオペレーションでは、バリューチェーンをすべて見なければいけません。役員入りを目指すなら、東京駅の副駅長をつとめるよりも、小さな駅の駅長を経験するほうが得るものが大きい。こういう『打席』には、志願してでも立つべきです」

むしろ配転をポジティブに受け止め、経験を積むための機会と考えるべきだというのである。ただ、前提として次のようなポイントを指摘する。

「配転先できちんと意思決定できる立場に置いてもらうことや、人員、資金といった経営資源を自分の意志で調達できることが絶対の条件。そうでなければ、実権を持たせてくれるよう本社と交渉するべきです」(岡島氏)

一方、ヘッドハンターとして8000人以上の社長と面談してきた経営者JP社長の井上和幸氏によれば、「経営者になるような人は、仮に左遷されても、左遷されたとは思わないメンタルの強さがある」と指摘する。

「客観的に見ても、非主流部門には人材の厚みがないのが普通ですから、本流から移った実力派にはむしろ腕の振るいどころです。たとえば、まだ手を着けていない改善ポイントや未開拓の市場が見つかりやすい。何をやるにしても、のびしろが大きいのです。ばりばり働くべきです」(井上氏)