出世コースは外れてしまったけれどまだまだ働いて稼がなくては──。リストラの脅威をしのぎながら今いる会社でどうにか生き延びる道はあるのか。

3つの生き残りコース(http://president.jp/articles/-/18169)にうまく乗れたなら、60歳定年まで、あるいはその後も会社に残れる可能性は大きくアップするでしょう。一方で、こうした努力をたちまち無駄にしてしまう行動も、いくつか指摘しておかなくてはなりません。

まず、正管理職の悪口は厳禁です。たとえあなたから見ていろいろ問題があっても、あなたの人事評価の権限を握っているのは直属の上司です。しかも、引き上げた上層部の責任もありますから、どんなダメ上司でも1年やそこらで配置転換にはならない。出世ルートから外れたあなたが今ケンカしても、勝てる相手ではありません。そんな暇があったら、ダメ上司の弱みをカバーしつつ課内の他のメンバーの人心掌握につとめたほうが生産的です。

酒の席でのグチやクダ巻きも要注意です。昔と違ってアルコールを無理に勧めるようなことがなくなったので、出席者の2割ぐらいは素面と思っていい。そんな場所でうっかり失言をした場合、昔のように「あれは酒の席のことだから」と流してもらえなくなっているのです。

「業績5割増しコース」の方は、残業のしすぎにも注意してください。体育会出身の営業マンにありがちなパターンですが、長時間労働が評価されるのは35歳ぐらいまで。40代になると、人件費の観点からも非効率だと目を付けられ、評価はむしろマイナスになっていきます。若い頃のように勢いで売るのではなく、経験で売る方向にシフトする必要があります。

そして全コースに共通の最も大切なことは、出世の見込みがほぼ消えたからといって、すねたり腐ったりしないことです。

「俺はこんなものじゃない」とグチったり、求められもしないのに組織運営に異を唱えるなど、ネガティブな目立ち方をするのは好ましくありません。また、ベテランになるほど手の抜きどころを心得ていて、勤務態度に問題が生じがちなことも自覚しましょう。ただでさえ成果や能力が下り坂なのに、「仕事への姿勢が消極的」「時間や職場のルールにルーズ」「責任をもって最後までやらない」といった態度では、若手に悪影響を及ぼすとみなされ、排除の対象になってしまいます。

どんな業種であれ、すべての企業は「環境適応業」です。目まぐるしく変わる周囲の環境に適応していかねば、生き残ることはできません。そこで働く社員も、また同じです。

年齢を重ねれば重ねるほど、大半の中高年社員の立場が厳しくなることは否定できません。そこで過去や自分のプライドに固執せず、経験を活かした柔軟性を発揮していくことが、能力ピークを過ぎてからも生き残る力の核になるのです。