争わず、諦めず、主張を通す方法

著者らによれば、職場における衝突あるいは交渉ごとを解決するには、基本的に2つの道があるという。1つは、問題そのものを解決しようとする方法だ。たとえば、品質管理の問題解決に直面したマネジャーが「製品は、100%欠陥ゼロであるべきか。それとも、ある程度の容認できる欠陥率があるのか」といった問いかけをする場合である。

著者らは、2つの異なる主張のうち1つを取る、このタイプの論争解決法を「競争型」と呼んでいる。
職場の摩擦を解決するもう1つの方法は、問題解決よりも人間関係を重視する「協調型」だ。この方法は、相手の立場を慮るあまり、時には目前の問題解決を犠牲にしてもチームの和を守る場合もある。

職場における交渉の多くはこの2つの手法のいずれかを採用する。だが、どちらか一方のみでは限界がある。争うばかりでは、人間関係を損ない、ひいては反対意見を主張する人々と前向きに協力し合う機会を長期にわたって失う恐れがある。一方、協調するだけでは、人間関係を守るために相手に譲歩しすぎることによって自分の立場を悪くする危険がある。「競争型」「協調型」の一方のみを採用して、他方を排除することはできないのだ。