自分で「病気をやめること」ができる

●意識レベルを確認する

意識のレベル(感情レベル)の確認も大切です(図表参照)。アメリカの精神科医、デヴィッド・R・ホーキンズ博士は、意識には悦び、愛、勇気、怒り、恐怖など、17段階のレベルがあり、意識のレベルによって発するエネルギー値が変わるといいます。がんになる人は「罪悪感」があり、自殺をする人は「恥じ」の意識を持っていることが多いようです。私は、罪悪感、無気力など低い意識のレベルにいる人に対して、カウンセリング中に恐怖を感じさせたり、怒らせたりすることがあります。これはエネルギー値を上げるためにわざと行うテクニックのひとつです。意識のレベルを一気に上げるのは難しいので、少しずつ上に上げて、9の勇気以上の達成可能なレベルにもっていくのです。

意識のレベル(デヴィット・R・ホーキンズ博士の研究より)
●不完了な感情を解決する

そして、これが最も重要です。不完了な感情がないかどうかの確認です。不完了な感情というのは、未消化の感情とでもいいましょうか。患者さんの多くに「絶対に許せない」という感情が見られます。この「絶対に許せない」を「許す」に変える決意をすることが非常に重要な一歩となります。許せないことが習慣になっていますし、中には許さないことが生きるよるべになっている場合もあります。しかし、病気と決別したいのであれば、ここで「許す」と決心できるかどうかが、ひとつの鍵となります。

●「前進している」感覚を持たせる

その後は、生きる目的を明確にさせ、それに向かって「前に進んでいる」という感覚を芽生えさせます。仕事や家庭での自分の生きる目的や目標を見つけ出したら、その目標を達成するために必要な最初のステップ、プロセス、スケジュール、課題や問題を洗い出します。こうした過程を経ることにより、考え方が主体的になり、「自ら前に進んでいる」という感覚を得ることができるようになります。実はこの感覚こそが、実際に目標が実現するかどうかよりも重要なのです。

ある日、私のクライアントが「私、この病気でいることをやめることにしました」と言ってきました。彼女は病気は自分で作るもので、自分でやめることもできるのだということに気づいたようです。進行がんの患者だったのですが、それから3カ月ほどでがんが縮小して、最終的にがんが消え、主治医も驚いていたそうです。

別に彼女が特別というわけではありません。自分の人生は自分がコントロールしているという感覚を持って、自分で病気をやめようと決心することは、誰もができることなのです。

梯谷幸司(はしがい・こうじ)
トランスフォームマネジメント代表。心理技術アドバイザー、ドランスフォーメーショナル・コーチ、経営コンサルタント、NLPトレーナー。人間心理、言語学心理、NLP(神経言語プログラミング)、LABプロファイルなどの分野で世界的な専門家に師事し、20年以上、科学的手法に基づいた理論を実践している。経営者、アスリートなどクライアントの抱える先入観や思い込みを素早く特定し、潜在意識をフル活用させ、精神的、肉体的苦痛を伴わずにセルフイメージを変革してきた。企業コンサルティングや研修事業、表参道首藤クリニックでカウンセリングを行っているほか、一般向けワークショップも定期的に行っている。
(取材・構成=田中響子)
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