「夜3回のトイレ介助で頭が重い」

病気のお年寄りや夫・妻を介護する人や、障がいを持つ家族の世話をする人……。

ケアをする人(ケアラー)は、身体も心もいっぱいいっぱいです。いつ壊れてもおかしくありません。それくらい疲れ切っている人が多いのです。

「夜3回のトイレ介助で頭が重く、寝不足がツラい。でも、見守っていないと何かあったとき、夫の兄弟に責められるのは私でしょう」

「がんの夫を2年前からケアしています。家計が苦しく新聞配達もしています。疲れて人と会っても笑顔がでません。でも、代わってくれる人はいません」

「介護がなければ生活がもう少し楽になるとか、そんなみにくいことを考える自分が情けなくなります」

「テレビ、扇風機、エアコン。父は新しい家電の使い方がわからず、壊します。エアコンはリモコンの操作法がわからず電源OFFにできないため、通風口に棒を差し込みガチャガチャやってダメにしました」

これらの声は、日本ケアラー連盟などがケアラーの介護体験を聞き取ったもの。介護のしんどさや孤独感がひしひしと伝わってきます。

また、次のようなケアラーの実態や意識も浮かび上がっています。

▼ケアをしている期間は?
3年未満:28.1%
3年~10年未満:37.2%
10年以上:23.2%

▼身体の不調を感じている?
はい:48.4%
いいえ:45.0%

▼「思う」(たまに+時々+よく+いつも)人の率
介護をしている人のそばにいると腹が立つ:67.7%
介護をしている人のしばにいると気が休まらない:61.1%
介護があるので家族や友人と付き合いづらい:51.5%
介護を誰かに任せてしまいたい:50.5%

出典:NPO法人 介護者サポートネットワークセンター・アラジン「全国の5つの地区の4000世帯(ケアラー2075人)を調査」

他の調査でも、「ストレスや疲労感が増した」「仕事を退職・転職した」「睡眠時間が減った」「自分の状況を理解してくれる人がいない」と感じるケアラーが多いことがわかっています。