勝手に売られた物を取り返すには?
大切なのは、自分の物を取り返すことであると考える人もいるだろう。すでにその物を第三者が購入していた場合、返還させることはできるのか。
「購入者が盗品であることを知って購入していれば、元の持ち主は占有回収の訴え、つまり返せと訴え出ることが可能です(民法200条)。ただ、購入者が『レアなアイテムだから、たぶん盗品だな』と薄々感づいていたという程度ではダメ。盗品だとはっきり認識していないと、訴えても返してもらえせん」
しかし、肩を落とすのは早い。民法には盗品について別の規程もある。第三者が知らずに盗品を購入した場合、被害者は盗難されたときから2年間、購入者に返還を請求できる(民法193条)。その際に元の持ち主は、購入者が支払った代価を購入者に弁償するよう定められている(民法194条)。取り返すといっても、結局は買い戻す形になる。
「買い戻すために被った損害額は、盗んだ家族に賠償請求することが可能です」
もちろん家族の争いは起きないのに越したことはない。大事な物を勝手に売り飛ばされないように、家の中はしっかり整理しておきたい。
(図版作成=大橋昭一)