商標権を直接侵害したら「罰金1000万円」もあり

図1:年々増える!「知的財産侵害物品」の輸入差し止め実績
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図1:年々増える!「知的財産侵害物品」の輸入差し止め実績

ネットオークションでブランド品を売買するときは要注意だ。商標登録されたブランドの偽物を販売すると、商標法に抵触する恐れがある。偽物であることを知りながら販売すれば、商標権を直接侵害する行為に当たり、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方を科せられる(商標法78条)。相手に本物だと偽って販売すれば、詐欺罪になる(刑法246条)。詐欺罪の場合は、10年以下の懲役刑で、罰金刑はないから、より重い罪だ。

落札されなくても、オークションに出品するだけで危ない。出品すれば、商標権の間接侵害にあたる販売目的の所持となり、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金、または両方を科せられる(商標法78条の2)。

「販売目的の所持」は法的にアウトだが、実際に摘発された事件を見ると、常習性があったり所持点数が多かったりなど、悪質なケースがほとんどである。ただ、今後もこのような警察のおめこぼしがあるとは限らない。違反が社会問題化すれば、小遣い稼ぎの個人でも見せしめとして摘発する可能性は十分にある。

図2:こんなにゆるい「偽物商品購入」についての認識
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図2:こんなにゆるい「偽物商品購入」についての認識

偽物と知らずに販売した場合は、故意ではないため罪には問われない。しかし、出品回数や点数によっては、故意だと認定されかねない。素人が真贋を見極めるのは困難だが、極端に安く手に入れたブランド品は偽物である可能性が高く、転売は控えたほうがいいだろう。

自分で使用するために購入・所持する場合はどうか。国内で購入したものなら、原則的に処罰されないだろう。しかし、海外からの持ち込みは別。関税法69条の11で、商標権を侵害する物品の輸入は禁じられている。違反すれば、7年以下の懲役もしくは700万円以下の罰金、またはその両方だ。処罰されるのは悪質なケースだが、個人的な使用でも輸入禁制品は国内に持ち込めない。偽物と知らなかった場合でも、任意放棄という形で税関で処分となるので、海外での買い物には気をつけたい。

図3:偽ブランド品の購入・売却は法的にアウトかセーフか
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図3:偽ブランド品の購入・売却は法的にアウトかセーフか

運悪くオークションや店頭で偽物をつかまされたときはどうすればいいのか。相手が偽物と知りつつ本物と偽った場合は、詐欺として契約の取り消しを求めることができる(民法96条)。仮に相手が偽物と知らなくても、錯誤による契約だったとして無効を主張することが可能だ(民法95条)。いずれにしても高額なブランド品を購入するときは、万が一の交渉に備えて、レシートなどの証拠を保存しておくといい。

各種調査によると、日本人消費者の商標に対する意識は必ずしも高いとはいえないようだ。ただ最近は、商標をはじめとした知的財産を、中国や台湾から侵害される事例が目立つ。国際的には、いまや日本は被害者側。消費者も、安易に偽物を容認しないよう心掛けるべきだろう。

※すべて雑誌掲載当時

(構成=村上 敬)