――「ジムビーム」は、世界一のバーボンウイスキーだ。日本では「角瓶」などのほうがメジャーだが、「ジムビーム」はアメリカで200年以上前から造られており、1973年から40年以上バーボン世界売り上げトップ。さらに、世界で売られているバーボンの41%のシェアを獲得している。

「ジムビーム」を中心としたスピリッツメーカーであるビーム社を、サントリーが1兆6500億円かけて買収したのは2014年のこと。ハイボールの普及もあって、日本のウイスキー市場は年々拡大しています。私は世界で愛される「ジムビーム」を日本でも愛されるブランドにするため、日夜努力しています。

その甲斐あって、サントリーが取り扱いをはじめてからは2万7000ケース(業界推定)だった国内出荷量が、13年には23万ケース、14年には25万ケース、15年には41万ケースと、約15倍になっています。今後はさらにこれを倍に増やし、「ハイボールと言えば角」という日本で、「ビームハイボールもおいしいよね」と言ってもらえるようにしたいです。

実は、「ジムビーム」を担当する前は5年間アメリカに赴任して、現地では認知度の低かったジャパニーズウイスキーのマーケティングを担当していました。アウェーでの仕事は、大変だけど面白い。成功すれば数字がガラッと変わるため、達成感があり、やりがいを感じられます。ただし、ブランドを愛し、モチベーションを上げて取り組まなくては、ただただハードな日々が続くだけ。過酷な状況では、モチベーションを上げる仕組みが仕事のスピードや成果を左右するのです。

そういった意味では、ジムビーム蒸溜所の最高製造責任者からもらったグラスは、私のモチベーションを上げてくれるアイテムです。出張でお宅にお邪魔したとき直接いただいたのですが、バーボン造りの匠たちとの絆が感じられるので、よく目に入る職場のデスクでペン立てとして使っています。

もうひとつは、米ビームサントリー社に勤めるアメリカ時代の友人から、「離れても一緒に頑張ろう」と贈られたノート。それまでは適当なノートを使っていたのですが、紙質がいいからアイデアを書きつけるのも楽しいし、セットの鉛筆を削ると身が引き締まる。品質の良いものを使う意味を知りました。このノートが、自然と私の仕事を加速させてくれるんです。

◇ノートで変わった仕事の成果とスピード

(左)グラスをペン立てに。(右)仕事モードになるノート。

▼グラスをペン立てに(写真左)
ジムビーム蒸溜所の最高製造責任者を務めるフレッド・ノー氏からもらったもの。ジムビームの200周年記念に作られた、今では貴重なアニバーサリーグラスだ。

▼仕事モードになるノート(写真右)
米ビーム社で働く友人から、帰任の際、友情の証しとして贈られたイルビゾンテのノート。実用性はもちろん、革製の表紙には高級感があり、持っているだけでやる気が出る。

 
サントリー 森田祥広
入社16年目。5年間は千葉支店で営業として働き、その後お台場で営業推進部に所属。08年からニューヨークに赴任して、山崎、響、MIDORIのマーケティング&セールスを行う。現在はウイスキーブランド部所属。
(大高志帆、唐仁原俊博=構成 加藤ゆき、岡本 凛=撮影)
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