問題分析のときにパソコンは使うな

私に「方眼ノート」の使い方を教えてくれたのは、外資系コンサルティングファーム出身の上司でした。転職してすぐ、A4サイズの方眼ノートを手渡され「パソコンは触るな。企画を立てたり、問題を分析したりするときは、まずこのノートの上で考えろ」と指示されたのです。

高橋政史(たかはし・まさふみ)
クリエイティブマネジメント代表。1967年生まれ。のべ2万人に「ノートスキルの指導」を実施。導入企業は200社を超える。著書に『頭がいい人はなぜ、方眼ノートを使うのか?』(かんき出版)など多数。

また「パソコンはノートの上で整理された結果を最後に清書するためのツールにすぎない」とも言われました。パソコンは膨大な情報に優劣をつけたり組み立てたりするのには不向きです。紙の上で問題提起し、情報を整理してから結論までの流れを導き出すのが、最もスピーディなのです。その後、私はマッキンゼーやBCG、アクセンチュアなど数多くの外資系コンサルティング会社の出身者と一緒に仕事をしましたが、彼らの手元にあるのはいつも方眼ノートでした。

なぜ彼らは方眼ノートを愛用するのか。それは5ミリサイズの「方眼」を使って情報を整理すると、コンサルティングに欠かせない「ロジカルシンキング」が自然と可能になるからです。

人の思考と行動は「フレーム(枠)」によって大きく左右されます。たとえば道路にセンターラインがなければ、クルマを直進させるのは難しいでしょう。書類では「フォーマット」と言い換えられます。運転と同じように、人間の思考もフレームやフォーマットに沿って進めることで、ブレを最小限にしつつ、情報整理を早くすることができます。特に方眼ノートは、マス目が引かれていることで、フレームやフォーマットを作りやすいのです。