外務省式「人は褒めて伸ばす」

さらに重要だったのは、「周囲に悟られないようにことを進めること」だ。重要事項が漏れたら、大げさに言えば国家が揺れると言ってもいい。1から仕切り直しだ。

「当時は新聞記者に気をつけていました(笑)」

そうした用心深さは今の監督業にも生きている。

例えば、ベンチからスクイズのサインを出す時だ。確固たる自信を持って決断し、相手チームに悟られないようにサインを出す。外務省の時の行動と重なるし、教訓だそうだ。

外務省での仕事経験が野球部の練習で生かされているのは褒めるという習慣も当てはまる。

「限られた時間なので、1つのプレーを止めていちいち、指摘しているのは時間がもったいない。バッティングもひと振りごと、止めてアドバイスしていたら打てる本数が減るし、粗探しばかりしてしまう」

これは神奈川の強豪校の監督と話していて我に返って外務省でのことを思い出したという。そうだ、自分も褒めて育ててもらったのだ、と。

「最後にまとめて褒める方が生徒は伸びる。僕も長く時間をかけたら、厳しい小言を言い出すだろうとそこには注意しています。役所でもダメだと言われたら萎縮してしまう。褒められたら伸びていくし、結果を出せた。褒める上司の下で働かせてもらって、いい仕事ができたと思います」