ベンチャー業界は、投資も文化もこれから

FinTechの誕生により、世界中で沢山のヒトが今までより良い「金融」サービスの恩恵を享受している。このコラムで過去4回に渡って紹介してきた通り、より幅広い層の人々が、今までより多くの選択肢(種類や費用)から自分に適したサービスを、という変化がFinTechの本質である。

見方によっては、部分的に伝統的金融サービスの合理化につながる為「金融機関の従業員は5~10年で半減する、云々」等と騒がれもするが、技術の進歩は常にその様なものかもしれない。今で、家電、自動車、製薬、そして電力、等あらゆる産業で当たり前に起きた変革だ。

ただし、これはあくまでも欧米(場合によっては中国)での話。日本経済は異なる事情を抱えており、大きな挑戦がFinTechベンチャー企業の前に立ちはだかる。

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ベンチャー企業投資額(トムソンロイター調べ)

世界全体におけるベンチャー企業(以下VC)への投資額は年々増加傾向にあり、昨年は1102億米ドル(約13.2兆円)、ITバブルピーク(2000年)の1366億米ドル(約15兆円)へ迫っており、盛況だ。それに比べ、昨年の日本におけるVC投資額は5.78億ドル(約693億円[注1])で、ITバブルピーク時の20.5億ドル(約2257億円)の約3割水準でしかない。この低金利でも、だ。その規模は、世界第3位のGDPやODA(政府開発援助)支出が150~200億ドル/年の国としては異質だ。

一億総中流社会を目指して傾斜生産方式や所得倍増計画を掲げ、高度成長期やバブル経済を経た日本文化では未だ「出る杭」に対して風当りが厳しい。随分と前から官公庁や業界団体があの手この手で起業・ベンチャー企業の育成に力を入れているが、やっと近年「出過ぎた杭」が成功するようになってきたというべきか。