がんばろう東北、がんばった日和山
蒲生地区で生まれ育った佐藤政信さんは、自宅が津波で全壊。日和山を含めた蒲生を守り育てていく「蒲生ふるさと会」の会長を務めている。
「蒲生のほとんどが流されてしまったことが信じられなくて、悔しくて。日和山も小さくなってしまったけれど、踏ん張って残りました。だからこそ、日本一の称号を再び手にすることができたんです。がんばろう東北、がんばった日和山、という感じですね」
佐藤さんはこう続ける。
「多くのものを失いましたが、私たちには日本一の日和山がある。ふるさとには住めなくても、愛着ある土地を忘れてはいけない。そのために何か楽しい思い出をつくりたいと考え、日和山の山開きを一昨年から行っています」
世界文化遺産で国内最高峰の富士山の山開きに合わせ、最低峰の山開きも7月1日。ギャグのようでもあるが、参加者の気持ちは真剣だ。杖を片手にリュックサックを背負い、登山靴を履いている本格派もいる。近くにある高砂神社で参拝し、山頂までたどり着くと本格的な登頂証明書が授与される。一昨年は、3歳から89歳まで41名が参加。昨年も県内外から50名ほどが日本一の山に挑んだ。
「この素晴らしい日本一の山を多くの人に知ってもらうため、山開きを長く続けてほしい。そして、蒲生に住んでいた方々の心がひとつになることを願う」と、登頂者の1人。ちなみに、元旦の早朝の日和山は、ご来光を拝む多くの人で賑わうという。