今夏の参院選からスタートする「18歳選挙権」。若年層の取り込みに向けてSEALDsに後れをとる自民党に秘策はあるか。

ゆるキャラで政治への関心は高まるか

【三浦】昨年6月に公職選挙法が改正され、国政選挙では今年7月に予定されている次の参院選から、満18歳以上の若年層も選挙権を得ることになります。政治に対して関心が薄いといわれる若年層に対して、どのように働きかけていかれる考えでしょうか。

【茂木】確かに投票率などの数字では、20代も含めた若者層は、それより上の世代と比べて低くなっています。ただ投票率が低いことイコール、政治に関心がないということではないと思っています。アプローチの仕方によって訴求はできますし、そういった人たちにさまざまなかたちで政治に参加してもらうことは、十分に可能だと思っています。

国際政治学者 三浦瑠麗
1980年、神奈川県茅ケ崎市生まれ。県立湘南高校、東京大学卒業。博士(法学)。著書に『シビリアンの戦争』『日本に絶望している人のための政治入門』などがある。テレビ朝日系「朝まで生テレビ!」など討論番組の顔としても知られる。

【三浦】若い世代へのアプローチについて、アイドルのポスターを使ったり、ゆるキャラを使ったりというのは、私自身は「ちょっと違うんじゃないか」という思いを持ってきました。これまでのそうした若年層への訴求戦略について、茂木さんご自身としては、どう見ておられますか。

【茂木】若い世代への訴求のアプローチがこれまで十分だったかというと、必ずしもそうではなかったでしょう。アプローチの手段には、伝統的なものとして、直接の対話、活字メディア、テレビといったツールがあったわけですが、それらに対して近年、影響力を高めているのが、ネットメディアです。

特に若い世代では、ソーシャルメディアの利用率が、20代で9割を超え、30代でも8割を超えています。それを考えると、若い世代への訴求チャネルとしては、いろいろな情報をネットメディアに載せて発信していくことが極めて重要と感じます。

【三浦】自民党では次の参議院議員選挙に向けて、「オープンエントリー2016」というプロジェクトを立ち上げたとうかがっております。

【茂木】「オープンエントリー2016」は、2016年の参院選に向けての、自民党公認候補の候補者選びの新しい試みです。このプロジェクトの特徴は、オープンであるということと、参加型であるということです。被選挙権があり、自民党の基本理念に賛同する方であれば、どなたでも応募することができ、書類審査と面接を行って、ファイナリストを決定します。

さらにファイナリストに対するインターネット投票を実施し、得票数で最上位となった方を、参院選比例代表候補として、自民党選対本部で公認します。この投票は自民党員だけでなく、事前登録で認められた一般の方も参加できるものとする予定です。