図解の「空白」が聴衆の理解を助ける

図解のシンプルさもTED講演者に学ぶべきポイントです。

何か人に訴えようとすると、できるだけ多くの情報や要素を盛り込みたくなるもの。でも、そうするとたいてい伝わりづらくなる。聴衆は、短時間でそれらを頭のなかで処理しきれません。十数分という制限時間のあるTEDにおいて講演者はその点を重視し、トークだけでなく図も省略できる情報を最大限削除します。いわば「空白」によって講演者は自らの主張にフォーカスした表現ができるよう努めるのです。

実際の仕事でのプレゼンでは、顧客や取引先、上司に対し、こちらのメッセージの根拠となるデータ類を公開する必要性も出てくるでしょう。その場合でも1枚のスライドにあえてシンプルなグラフ系の図解のみでメッセージを伝え、データ類は付録として添付すればいいのです。グラフに加え、詳細なデータテーブルを強引に入れ込むとむしろ逆効果となります。

[02]ノイズカット&フォーカス――主張は1枚に1つ
Hans Rosling:医師、公衆衛生学者
テーマ「統計データの見せ方」(The best stats you've ever seen)

▼シンプル・イズ・ベスト!

図は、世界数十億人の所得分布を表したもの(1日あたりの世帯所得が100ドルの人々が世界の富の74%を握っている)。

Seth Godin:作家
テーマ「スライスしたパン」(on_sliced_bread)

▼贅肉をそぎ落とす

現代は選択肢にあふれている半面、選ぶ時間が少ないという概念を伝えるためのイメージ図。いずれも言いたいことがほぼ直感的に理解できる。

「2つの共通点はグラフに理解の邪魔をするノイズがなく、表現したいことを1つにフォーカスして(絞って)いることです」(清水氏)

▼応用すると……

昔と今との比較の場合、「途中」をあえて省略することでノイズをカットし、「これだけ成長した」ことにフォーカスができるようになるのだ。